「隠れ肥満」とは? 見た目は普通でも危険な理由と見分け方|Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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「隠れ肥満」とは? 見た目は普通でも危険な理由と見分け方


食欲の秋でオーバーカロリーになり、体型や体重が気になる方もいるかもしれません。「体重は変わってないから問題ないよね」、「つまめる脂肪はないから大丈夫」、そのように思っていませんか?


見た目や体重が普通でも、実は隠れ肥満になってしまうこともあります。隠れ肥満には、脂肪だけではなく、多くの疾患のリスクへとつながる危険が詰まっているのです。


今回は、身近に潜む隠れ肥満について、その原因や見分けるためのチェックリストなどを中心にご紹介します。


■隠れ肥満とは?


隠れ肥満とは、医学的には MONW(Metabolically Obese Normal Weight/代謝的に肥満な正常体重)やNWO(Normal-Weight Obesity/体重が正常な肥満)とよばれています。


内臓脂肪が注目されるようになった1980年代に、BMI(Body Mass Index/体格指数)が正常であるにもかかわらず、インスリン感受性低下、高血圧症、2型糖尿病、高トリグリセリド血症といった代謝症候群を示す患者例が報告され1、内臓脂肪が多い状態を「隠れ肥満」と認識するようになりました。


■隠れ肥満の原因や体脂肪率の目安


隠れ肥満を理解するには、その背景にある原因と、判断の目安となる体脂肪率を知っておくとよいでしょう。ここでは、なぜ隠れ肥満が起こるのか、そして具体的にどのくらいの数値を基準に考えるべきかをご紹介します。


◎隠れ肥満の原因は内臓脂肪

隠れ肥満の大きな要因は 内臓脂肪の蓄積 です。内臓脂肪の蓄積は加齢に伴う身体の変化で生じやすくなります。


筋肉と骨量は30歳代以降徐々に減少し、脂肪量は70歳まで増加し、その後減少します。そして、加齢に伴う脂肪再分布は、皮下脂肪ではなく内臓脂肪の増加という形で生じ、体重増加とは関係なく生じます2


また、加齢に伴い循環中で上昇する代表的な炎症性老化の1つとして注目されているIL-6(インターロイキン6)という因子は、脂肪分解を抑制し内臓脂肪蓄積を促進する有害な役割を果たすことが明らかにされています3


このように、30歳代以降になると内臓脂肪が増えやすくなり、隠れ肥満になるリスクが高まります。


◎体脂肪率別にみた隠れ肥満

BMIは正常体重女性における体脂肪量の指標として信頼性が低いという報告もあり4、隠れ肥満かどうかを見極めるには、体重だけではなく体脂肪率をチェックするとよいでしょう。


高体脂肪の基準は次の通りです4


  • 男性:25%以上

  • 女性:30%以上


■隠れ肥満に潜むリスク


隠れ肥満の原因である内臓脂肪は、2型糖尿病、耐糖能異常、高血圧、心血管疾患の発症に関与するといわれています1。また、皮下脂肪についてはそのような関係は観察されませんでした1


これらは、女性では冷えや疲れやすさ、男性では健診で血糖や脂質の異常を指摘されるなど、ちょっとした不調として現れることもあります。


■あなたは隠れ肥満?隠れ肥満チェックリスト


以下の表で合計7点以上になる場合、隠れ肥満の可能性があります。


点数

項目(いずれか1つに該当で加点)

1

  • TG(中性脂肪)>100-150mg/dL
  • 血圧>125-140/85-90mmHg
  • 4㎏以上の体重増加(男性は21歳以上、女性は18歳以上)
  • BMIが23-25kg/m2
  • 腹囲が女性>71.1-76.2cm、男性>86.3-91.4cm
  • 人種が黒人女性、日系アメリカ人、ラテン系、メラネシア人、ポリネシア人、ニュージーランドマオリ人

2

  • 空腹時血糖値110-125mg/dL
  • TG>150mg/dL
  • 血圧>140/90mmHg
  • 高血圧症(60歳未満/本態性高血圧)
  • 早期冠状動脈性心臓病(60歳未満/心筋梗塞や狭心症など)
  • 低出生体重児(2500g未満)
  • 運動量が少ない(1週間の有酸素運動が90分未満)
  • 8㎏以上の体重増加(男性は21歳以上、女性は18歳以上)
  • BMIが25-27kg/m2
  • 腹囲が女性>76.2cm、男性>91.4cm
  • 尿酸>8㎎/dL
  • 人種がインド人、オーストラリア人、ミクロネシア人、ナルア人

3

  • 妊娠糖尿病
  • TG>150mg/dLかつHDLコレステロール<35mg/dL
  • 2型糖尿病または耐糖能異常
  • 高TG血症
  • 12㎏以上の体重増加(男性は21歳以上、女性は18歳以上)
  • 早期冠状動脈性心臓病(60歳未満/心筋梗塞や狭心症など)
  • 人種がアメリカインディアン部族複数

4

  • 2型糖尿病、耐糖性障害、多嚢胞性卵巣

※文献1を参考に作成

※>100-150mg/dLなどの記載は、文献によって揺れているため、幅を持たせて>100-150mg/dLと表記

※「早期冠状動脈性心臓病(60歳未満/心筋梗塞や狭心症など)」に関しては、原著論文に2点の項目および3点の項目双方に記載あり


このように、隠れ肥満にはさまざまなリスクがあります。健康診断のときに、これらの数値をチェックしてみましょう。


■まとめ


隠れ肥満のリスクは生活のなかに潜んでいます。まずはこれらのリスクを知り、生活習慣の見直しから始めてみませんか?

お悩みの方はぜひ、当院へご相談ください。


<参考文献>

1, Waldemar Pluta,et al.:Metabolic Obesity in People with Normal Body Weight (MONW)—Review of Diagnostic Criteria. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(2):624.

2, Georgia Colleluori,et al: Aging, Obesity, Sarcopenia and the Effect of Diet and Exercise Intervention. Exp Gerontol.2021;155:111561.

3, Xiaofang Zhang,et al.: Interleukin-6 promotes visceral adipose tissue accumulation during aging via inhibiting fat lipolysis. International Immunopharmacology.2024;132:111906.

4, Olga I. Parfenteva,et al: Prevalence and Predictors of Normal-Weight Obesity among Women. Nutrients.2024;16(16).2579


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