隠れ肥満を改善するには? 今日からできる2つの習慣|Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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隠れ肥満を改善するには? 今日からできる2つの習慣


「見た目や体重が普通でも、実は隠れ肥満になってしまうことがある」、「30代以降から隠れ肥満のリスクが上がる」、今月のブログ記事で、日常生活に潜む隠れ肥満についてご紹介しました。


参考記事:

「隠れ肥満」とは? 見た目は普通でも危険な理由と見分け方


今回は、その記事に引き続き、すぐに始められる隠れ肥満の改善のためのポイントや、その対策に時間とれる人・忙しい人それぞれにあわせた“今日からできる習慣化のエッセンス”まで解説します。


■隠れ肥満改善のためのポイントは?


隠れ肥満を改善するには、食事と運動の工夫が欠かせません。ただし、隠れ肥満の程度や目指すゴール、身体的・社会的な背景に合わせて、無理のない方法を選ぶことが大切です。


今回はそれぞれの背景に合わせて実践したい習慣を2つずつ紹介します。


■今日からできる!隠れ肥満改善プロジェクト~しっかりと取り組みたいあなたに~


健康な身体を手に入れるために時間をしっかり費やせる方に向けた、隠れ肥満改善のための基本的な食事と運動の習慣をご案内します。


◎内臓脂肪を増やさない食事

隠れ肥満の改善のためには、まずはその原因である内臓脂肪を増やさない食事内容を考えましょう。日本人を対象とした2024年の研究では、日本の食事摂取基準(DRIs)1に基づいた栄養設計は、内臓脂肪減少につながることが報告されています2


日本の食事摂取基準は、特定の食品ではなく栄養素に注目しているため、さまざまな食材を楽しみながら、隠れ肥満対策を継続することができます。


◎戦略的ウォーキング

身体のなかから健やかになるためには、長期的な運動習慣を目指してみましょう。軽い運動の代表格であるウォーキングは、工夫次第で内臓脂肪の減少だけでなく、代謝の効率化や見た目の変化も期待できます。


BMIが約30以上の肥満の大学生を対象とした研究で、1日12,000歩のウォーキングを毎日行う場合と1日12,000歩のウォーキングのうち週3回は1分間に103歩以上の速度で歩くことを条件にした戦略的ウォーキングを実施した場合とでは、明らかに内臓脂肪やヒップ周囲径の減少、HDL(善玉)コレステロールの上昇、血糖値や中性脂肪値の改善がみられたと報告されているものもあります3


このように、毎日ウォーキングを習慣化できる場合は、身体への負荷も少ない方法でチャレンジすることができます。


■今日からできる!隠れ肥満改善プロジェクト~忙しくて時間がとれないあなたに~


忙しくてまとまった時間が取れない、または短期的にわかりやすい身体の変化をみたい、という方でも実現可能な習慣はあります。食事と運動、それぞれについてご紹介します。


◎16時間ダイエット

ダイエットに興味を持ったことがある方であれば一度は聞いたことがある方法かもしれません。16時間ダイエットとは、1日のうち16時間、カロリーを含む飲み物や食事を控える方法です。


16時間ダイエットで実践される間欠的断食+時間制限食は、オートファジー(自食作用)と呼ばれる細胞の再生機能を活性化し、加齢に伴う変化を緩やかにする可能性があると注目されています4


実際に6ヶ月間の16時間ダイエットで中性脂肪の低下がみられたという近年の報告があります4。また、過体重の高齢男女(65〜74歳)に6週間の16時間ダイエットを行ったことで、男女ともに筋肉の量は保ったまま体重が減少し、男性に限って内臓脂肪が減少したという報告もあります5


ただし、16時間ダイエットは、長期的な身体への影響や、糖尿病や妊娠・授乳期など背景にある条件に考慮した研究が十分ではありません。さらに、約2万人を対象にしたアメリカの調査では、16時間ダイエットを実践していた人で心筋梗塞などの心血管疾患による死亡リスクが91%高かったとの報告もあります。


ただ、これに関しては対象者の生活背景の影響も考慮されるため、16時間ダイエットのみがこの結果に影響を与えたともいえません。つまり、まだ不明な点が多いため、少なくとも長期にわたってチャレンジすることは現時点ではあまりおすすめできません。


◎インターバルトレーニング

短時間で効率よく内臓脂肪を減らしたい場合は、インターバルトレーニングがおすすめです。インターバルトレーニングとは、強度の高い運動と休憩を交互に交えた運動です。


体脂肪率30%以上の肥満の若年女性12週間インターバルトレーニングを行った研究では、中強度の持続運動よりも内臓脂肪の減少効果が大きく、断面積で15cm²以上の減少がみられたという報告もあります6


■まとめ


健康への意識が高い方はもちろん、忙しい日々を過ごす方でも、隠れ肥満を改善するチャンスはあります。日常生活のなかで取り入れられる、自分にあった方法を取り入れて習慣化することから始めてみませんか?


当院は、病気に悩む方だけでなく、内面から美しく、そして自分らしく生きたいと思うみなさまも応援しています。日々のちょっとした悩み、ライフステージや年齢による身体の変化などの背景を受け止め、一人ひとりの思いに向き合いながら伴走する健康面でのパートナーになれたらと願っています。


隠れ肥満の改善も含めた健康面のご相談は、ぜひ当院にお寄せください。今よりももっと、健やかで自分らしい毎日を送れるよう、私たちがお手伝いいたします。


<参考文献>

1, 厚生労働省: 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント.

2, Naohisa Shobako, et al: Visceral Fat-Reducing Effect of Novel Dietary Intervention Program: A Randomized Controlled Trial in Japanese Males.Nutrients.2024;16(18):3202.

3, Tsung-Lin Chiang,et al: Is the goal of 12,000 steps per day sufficient for improving body composition and metabolic syndrome? The necessity of combining exercise intensity: a randomized controlled trial.BMC Public Health.2019;19(1):1215.

4, Julien Bensalem,et al: Intermittent time-restricted eating may increase autophagic flux in humans: an exploratory analysis .J Physiol. 2025;603(10):3019-32.

5, Przemysław Domaszewski, et al: Comparison of the effects of six-week time-restricted eating on weight loss, body composition, and visceral fat in overweight older men and women.Experimental Gerontology.2023;174:112116.

6, Haifeng Zhang, et al: Exercise training-induced visceral fat loss in obese women: The role of training intensity and modality. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports .2021;31:30-43.


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