高血圧と診断された時、「食事ってどうしたらいいの？」というお悩みを抱える方は少なくありません。
多くの方を悩ませる「高血圧」ですが、食事などの見直し次第で、ある程度の改善を見込める可能性があります。
今回は高血圧対策に向いている食べ物・飲み物、塩分の摂取目安などについてご紹介します！
■高血圧とは
高血圧とは、血管の壁に正常よりも高い圧力がかかった状態のことをいいます。
加齢で動脈硬化が進むと、血管のしなやかさが減少し、その分血管の壁に圧力がかかります。また、塩分の高い食事を摂り続けると、血液の塩分の濃度を一定にするために血液中の水分量が増え、その分血管の壁に圧力がかかります。
そして、血管の壁に圧がかかる状態が続くと、それ自体が血管を傷めてしまい、さらに動脈硬化を悪化させてしまう可能性があります。
具体的に、高血圧と言われる血圧の数値は140/90ｍｍHg以上です。
これは、140/90mmHg以上の血圧が、脳梗塞や心筋梗塞などの脳血管病死亡やそのほかの死因に影響を与える危険因子であるという、多くの研究報告に基づいた数値です1。
これまでにも高血圧について詳しく解説したブログ記事があるので、こちらもご参照ください。
＞正常な血圧はどれくらい？ 高血圧、低血圧の基準やなりやすい人について解説
＞「健康診断で高血圧と言われた」 具体的な対策や治療法について解説
■高血圧改善に向いている食べ物
◎カリウムを豊富に含む野菜、果物、豆類
カリウムには、体内の余分な塩分を尿へと排出するのを助ける働きがあります。
血液中の塩分濃度が下がれば、血圧の低下へと繋がります。また、カリウムには血管の壁を広げる作用があり、これにより血圧が下がる可能性があります。
カリウムを多く含む食材には野菜や果物、豆類などが挙げられます。
具体的に、野菜に含まれるカリウムの量は下記の表のとおりです2。
カリウムが正常値よりも低い場合に使用する薬剤が通常1錠300㎎のカリウムを含んでいることを考慮すると、これらの野菜がいかに多くのカリウムを含んでいるかがわかります。
＜野菜に含まれるカリウムの量＞
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生の場合のカリウム量(mg/100g) |
ゆでの場合のカリウム量(mg/100mg) |
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にんじん |
270 |
240 |
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ごぼう |
320 |
210 |
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だいこん |
230 |
210 |
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れんこん |
440 |
240 |
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さといも |
640 |
560 |
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じゃがいも |
410 |
340 |
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たまねぎ |
150 |
110 |
※文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告：日本食品標準成分表2020年版(八訂)(2021)を参考に作成4
■高血圧改善に向いている飲み物
◎緑茶
緑茶の摂取が、高血圧患者の収縮期血圧および、拡張期血圧を下げる可能性があるという報告があります。
高血圧患者においては、緑茶の摂取で収縮期血圧は2.64mmHg、拡張期血圧は2.26mmHg程度の血圧低下があり、また12週間以上継続して緑茶を摂取する方が血圧の低下がみられ、摂取したカテキンの量などについては特に結果に影響はありませんでした3。
血圧が下がるメカニズムについては、緑茶に含まれるカテキン類などの成分によって、
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抗酸化作用で血管内皮の機能を改善させる
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血管拡張物質である一酸化窒素の合成を促進し、血管内皮細胞の機能を高めることで、血管抵抗を減少させる
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血圧を調整する代謝酵素の活性を阻害する
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炎症を抑制し動脈硬化の進行を遅らせる
などが考えられています3。
以上より、日ごろの飲み物に緑茶を加えると良いかもしれません。
◎ココア
ココアやダークチョコレートの摂取が、健康な人および高血圧患者の両方で血圧を低下させる可能性があるという報告があります。この報告の中では、特に高血圧患者において、血圧を低下させうる傾向がより顕著にみられました4。
しかし、その効果を最大限に引き出すための適切な摂取方法、量、牛乳などとの相互作用についてさらなる研究が必要4という内容だったため、ココアに関しては参考程度にとどめる方が良いかもしれません。
■塩分摂取の目安量
高血圧の場合の塩分摂取は１日6g未満が目標です。
しかし、いきなり厳しい減塩にすると体調を崩すこともあるので、少しずつ摂取量を落とすと良いでしょう。本態性高血圧の場合には食塩摂取量を１日１g減らすことで平均1ｍｍHg強の収縮期血圧の低下を期待できます5。
塩味がもう少し欲しいときは、出汁などのうまみで補うのも一手ですが、出汁パックなどの場合は加塩タイプのものもあるため成分表を確かめるようにしましょう。
■まとめ
高血圧対策に向いている食事や気を付けるべき塩分摂取量について紹介しました。
こちらでご紹介している内容はあくまでも実践例に過ぎません。他に抱えている疾患や年齢、体格などの条件次第では、専門家が個別に食事療法の内容を組む方がよい場合もあります。
さらに、早めに高血圧の治療を始めながら食事療法を組み合わせる方が、より健康寿命を延ばす可能性もあります。
どんな方法をとるべきか悩んでいる方はぜひ、当院へご相談ください。
みなさま一人ひとりの健康へのお手伝いができれば幸いです。
＜参考文献＞
1, 日本高血圧学会発行．高血圧治療ガイドライン2019
2, 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告：日本食品標準成分表2020年版(八訂)(2021)
3, Renfan Xu et al．Effect of green tea supplementation on blood pressure: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials．Medicine (Baltimore). 2020 Feb;99(6):e19047
4, Isaac Amoah et al. Effect of Cocoa Beverage and Dark Chocolate Consumption on Blood Pressure in Those with Normal and Elevated Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis. oods
. 2022 Jul 1;11(13):1962.
5, 日本高血圧学会編．一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話
