皆さんにとって身近な頭痛。自分自身や大切な人に頭痛があるとき、そのまま様子を見ていいのかどうか心配になったことはありませんか?
この記事では、心配した方がいい頭痛かそうでない頭痛かについて考えるコツをご紹介します。また、頭痛持ちの人の状態を知るためのエッセンスを教えます。
1)一次性頭痛と二次性頭痛について
「一次性頭痛」、「二次性頭痛」という言葉を聞いたことはありませんか?
難しく聞こえてしまうかもしれませんが「一次性頭痛」とは頭痛そのもの、「二次性頭痛」とは頭痛を引き起こす原因が他にあって、その結果頭痛が起きているものを指します。
心配した方が良い頭痛は「二次性頭痛」です。その中には脳出血やくも膜下出血などの出血を伴うもの、脳腫瘍、髄膜炎や脳炎などの感染を伴うものなどがあります。
【注意を要する頭痛の特徴(1)】
・50歳以降に初発の頭痛
・今まで経験したことがない頭痛、あるいはいつもと様子が異なる頭痛
・雷鳴頭痛(雷に打たれたような、突然のひどい頭痛)
・全身症状(発熱、悪寒、体重減少)に伴う頭痛
・がん、自己免疫疾患、HIVなどの全身疾患を有する患者の頭痛
・頭位を変化させた際やValsalva手技(息こらえ)によって生じる頭痛
・小児期の後頭部痛
・局所神経症状(手足の動かしにくさやしびれ)を伴う頭痛
などの症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに病院に行って調べた方が良いでしょう。
一方で「一次性頭痛」は、皆さんがよく日常で目にする頭痛であることが多く、緊張型頭痛や片頭痛はその代表です。日常的に接することが多いため、緊急性は低く様子を見ていても大丈夫なものがほとんどです。
2) よく遭遇する頭痛①緊張型頭痛について
緊張型頭痛とはその名の通り、筋肉の緊張や精神的緊張に左右される頭痛です。国内の統計では大体5人に1人(22.4%(1))が緊張型頭痛を持っていると言われています。
頭が締め付けられるような頭痛、数十分~数日間持続する、日常生活の範囲では悪化しない、などの特徴を持っています。詳しいメカニズムはまだ解明されていません。
緊張型頭痛の発作がつらいときは、市販の頭痛薬を使用することが多いです。
週に何度も頭痛発作がある、またその程度が強く日常生活に支障がある場合は、その頻度や程度を和らげるために予防療法を選択することもできます。ただ、よく使用するのは抗うつ薬の一種のため、便秘になったり口の中が乾いたりなどの副作用もあります。
3)よく遭遇する頭痛②片頭痛について
片頭痛は皆さんも聞いたことが多い頭痛でしょう。国内の統計では大体12人に1人(8.4%(1))が片頭痛を持っていると言われています。
ズーンズーンとした脈を打つような頭痛、比較的に強い頭痛で仕事や学校生活に支障がある、吐き気を伴う、音や光に敏感になるなどの特徴があり、脳の血管に分布する三叉神経が関係していると言われています。
基本的には市販の頭痛薬で対処可能です。しかし、頻繁に使ってしまうと、頭痛薬を飲むことでさらに頭痛が起きてしまう、薬剤乱用性頭痛というものもあるので注意が必要です。
病院で処方できるもので片頭痛向けの頭痛薬(トリプタン系やジタン系製剤)もありますが、頭痛そのものの回数や強さを抑える予防薬も最近増えてきているのでおすすめです。辛い頭痛が月に3回以上あれば積極的に予防療法を考えても良いでしょう。
4)その他いろいろな特徴をもつ頭痛について
その他にもいろいろな頭痛があります。年に1,2回特定の時期に1時間くらい、じっとしていられないくらいの耐えがたい頭痛が出現する「群発頭痛」や咳で誘発される頭痛、寒さに伴う頭痛、性行為に伴う頭痛、睡眠中のみに繰り返し起こる頭痛など様々なものがあります。
群発頭痛は機序も治療もわかってきています。しかし、そのほかの頭痛は機序がわからないものがほとんどです。一部の病院処方の内服が有効な場合もあるので専門の医療機関に相談しましょう。
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心配した方が良い頭痛とそうでない頭痛の特徴についてのお話から、代表的な頭痛や珍しい頭痛についてのお話をしました。
頭痛そのものへの理解が深まって、自分自身や周りの人の手助けになるといいですね。
<参考文献>
(1)古和久典,他:診断法と補助診断は?Medicina 52:1255-1257.2015
(2)Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : national wide survey. Cephalalgia 1997 ; 17(1):15-22