その症状 「睡眠障害」かも?症状、受診するべき診療科などについて解説|Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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その症状 「睡眠障害」かも?症状、受診するべき診療科などについて解説



どうも最近、寝付けなくて困る。または、一旦寝たものの夜中に何度も起きてしまって、疲れがとれない。心当たりのある方はいませんか。


今回は睡眠障害の基本的なお話から、病院を受診する必要があるのか、あるとしたらどの科を受診したらよいのかについて解説します。

1) 睡眠障害の種類について


睡眠障害は大きく7系統、約80種類ほどに分類されています。

具体的には、


①不眠症

②睡眠関連呼吸障害群(閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)

③中枢性過眠症群(ナルコレプシー、特発性過眠症など)

④概日リズム睡眠・覚醒障害群(睡眠相後退型、 交代勤務型など)

⑤睡眠時随伴症群(夢中遊行、レム睡眠行動障害など)

⑥睡眠関連運動障害群 (レストレスレッグス症候群など)

⑦その他の睡眠障害


の7系統が大分類です1


多様な睡眠障害の分類がある一方で、一般的に睡眠障害と言って思い浮かぶのはいわゆる「睡眠異常」ではないでしょうか。大きく次の3つが挙げられます。


  1. 睡眠の質や量、出現パターンの異常(不眠、リズム障害)がある
  2. 覚醒機能の異常(過眠)がある
  3. 睡眠中に異常な精神身体現象(異常行動、不随意的な筋活動、自律神経活動、パニック症状など)

ご自身やこれまで接してきた人の睡眠異常は、大きく分けてa, b, cのどのタイプの睡眠異常でしょうか。


また、これらは睡眠ポリグラフ検査(PSG)や睡眠潜時反復検査(MSLT)などで評価を行うことも可能です。


2) 症状別フローチャートでみる睡眠障害のタイプ分類


睡眠障害の症状や状況によって、何を考えてどの診療科を受診したらよいのでしょうか。不眠の症状別にフローチャートで見ていきましょう。


左側が症状、右側が考えられるものの例(受診先)となります。


<図1>不眠のタイプ分け(文献2を参考に作成)


このフローチャートのように、原因が明らかなものは対象となる医療機関・診療科を受診します。

不眠の中で最も多いのは、フローチャートの下3行の早朝覚醒や中途覚醒、入眠障害などになります。


3) 不眠症の薬物療法と非薬物療法


不眠症は、不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠感欠如)の訴えがあり、かつ日中の機能障害が最低1つ認められる場合に診断されます(1)


日中の機能障害とは、疲れやすい、記憶力が低下する、気分の落ち込みや焦りがある、日中に眠気があり仕事に支障がある、眠れないことに不安を抱えている、などの不眠のせいで日常生活に支障をきたしている状態です。


不眠症状のみで日中の機能障害がない場合には、不眠症とは診断せず経過観察でよいでしょう。例えば高齢者などで、中途覚醒があるものの生活に支障はない場合などはそのまま様子をみても問題はありません。


不眠症には、特定のストレスによる一過性不眠症や、不規則な就寝起床時間や長すぎる昼寝などの生活因子によるもの、ストレス等で眠れない日々を繰り返すうちに不眠への恐怖でさらに眠れなくなってしまう精神生理性不眠症、睡眠時間が正常なのにも関わらず強い不眠感がある逆説性不眠症など、様々なものがあります。



不眠症には薬物療法と非薬物療法があります。


薬物療法には、睡眠のリズムを整えるタイプや、睡眠の受容体に作用するタイプがあります。その中でも、入眠を助けるための比較的に短時間作用するものや、数時間作用するもの、依存性の少ないもの、やや依存性があるものなど、さまざまなタイプがあります。状況によって使い分けや依存状態にならないようにする工夫が必要です。


非薬物療法には、睡眠環境を整える、睡眠習慣を改善させるなどがありますが、刺激制御法や睡眠制限療法などの行動療法的なアプローチも有用です。


具体的には


①眠くなった時だけ寝床に就く

②睡眠と性生活以外に寝床を使わない

③眠れない時、眠くないときは寝室から出る

④眠れなくても毎朝同じ時間に起床する

⑤昼寝をしない


等が挙げられます。


これらを組み合わせると、よりよい睡眠習慣を得られるようになります。


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睡眠障害や不眠について説明しました。


睡眠について不安はありませんか?ご自身だけでなく多くの人が抱えている問題だから、と抱え込む必要はありません。


脳神経内科の専門領域の睡眠障害はもちろん、一般的な不眠についてもご相談や治療は可能ですので、当院へぜひご相談ください。


<参考文献>

(1)国立精神・神経医療研究センター.睡眠障害ガイドライン 我が国における睡眠問題の現状
(2)鈴木正泰.不眠の鑑別診断とその進め方.日大医誌.2020;79 (6): 337–340


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