家族が大きないびきをかいて寝ている。突然いびきがやんだと思ったら、10秒くらいの間をあけてまたいびきをかき始めた。
このような、睡眠時無呼吸症候群でよくみられる症状に遭遇したことはありませんか?
また、自分がそのような状態であることを家族に指摘され、不安になったことはありませんか?
今回は睡眠時無呼吸症候群の概要とセルフチェックについてご紹介します。
1) 睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠中に頻発する無呼吸を特徴とする疾患を睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome, SAS)と言います(1)。
このうち、無呼吸中に呼吸中枢から呼吸筋への指令がなくなり、呼吸をするのに必要な胸やお腹の筋肉の動きがなくなる「中枢型睡眠時無呼吸症候群」と、無呼吸中も呼吸に関係する筋肉の動きがある「閉塞型睡眠時無呼吸症候群」、さらにはこれらの混合型も存在します。
中枢型睡眠時無呼吸症候群は呼吸中枢の障害が原因で、昔は「オンディーヌの呪い症候群」とも呼ばれていました。
脳卒中の後遺症や心不全に合併するものであり、患者数はさほど多くはありません。
一方で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠呼吸障害外来の受診者の95%以上に該当し、様々な原因によって起こります。一般的によく目にする睡眠時無呼吸症候群は閉塞性睡眠時無呼吸症候群と考えても良いかもしれません。
2)閉塞性睡眠時無呼吸症候群の定義
「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」は次のように定義されています。
【呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index, AHI)が5以上の状態かつ日中過眠などの自覚症状があるとき】
※AHIとは、1時間に無呼吸や低呼吸が起こる回数
※無呼吸とは、睡眠中に10秒以上の気流停止がみられること
※低呼吸とは、安静覚醒時に比べて気流が10秒以上明らかに50%以上低下するとともに、基準値から3~4%以上の酸素飽和度の低下がある場合や覚醒してしまう場合のこと
睡眠時無呼吸症候群の発症に影響を与える因子の一つは、肥満などで、のど周りや上気道が狭くなることです。
その他にも、呼吸の出力(覚醒しやすさ、呼吸の不安定性、上気道開大筋の反応性)も発生に関与しています(2)。
具体的な原因については、今後またブログの中でご紹介いたします。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や虚血性心疾患並びに心不全のリスクとなるだけではなく、これらの心臓関連疾患に高頻度に合併し、予後悪化と関係(3)してしまいます。
健康寿命を長く保つためにも、早期に発見することが重要です。
3) 睡眠時無呼吸症候群の可能性は?簡単セルフチェック
次に睡眠時無呼吸症候群を早めに発見するためのセルフチェックをご紹介します。
下記のチェックリストで当てはまるものがないかどうかを確認してみましょう。
<睡眠の症状>
☑睡眠中に息が詰まる感じや、息が絶え絶えになることがある
☑睡眠中に何度も目が覚めてしまう
☑十分に寝たはずなのに、朝起きたときに熟睡感がない
☑日中に眠気と気だるさがある
☑運転や仕事に支障が及ぶような集中力の低下がある
<睡眠以外の症状>
☑いびきが大きいと言われたことがある
☑睡眠中に息が止まっていたと指摘されたことがある
☑血圧の薬を飲んでも血圧がなかなか下がらない
☑顎が小さい、もしくは肥満で頸のくびれがわかりにくい
☑舌が大きい、喉の奥の扁桃周辺が大きい
これらの睡眠の症状と睡眠以外の症状で、少なくとも1つずつ当てはまるいくつか症状があれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
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睡眠時無呼吸症候群の概要とセルフチェックについてご紹介しました。
睡眠時無呼吸症候群を含め、睡眠障害でお困りのことがあれば、お気軽に当院へご相談ください。
<参考文献> (1)村田 朗:睡眠時無呼吸症候群の診断と治療.日医大医会誌 2007;3(2):96-101 (2)中山 秀章:睡眠時無呼吸症候群の病態. 日内雑誌2020; 109(6):1052-1058 (3)葛西 隆敏:睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患. 日内雑誌2020; 109(6):1089-1094