そんなに太っていないのに、血液検査で脂質異常症を指摘された!そんな経験はありませんか。
善玉・悪玉コレステロール、中性脂肪などコレステロールの種類が多くてよくわからないという方もいるかもしれません。
今回は脂質異常症の種類、原因、症状や受診すべき診療科について解説します。
■脂質異常症の種類
健康診断において、血液検査で評価される脂質の項目は
-
LDL(low-density lipoprotein)コレステロール
-
HDL(high-density lipoprotein)コレステロール
-
トリグリセライド(triglyceride:TG)
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non-HDLコレステロール
の4つです。
診断基準は下記の表のとおりです1。
<脂質異常症診断基準(空腹時採血)>
脂質の種類 |
検査値 |
病名 |
LDLコレステロール |
140mg/dL以上 |
高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL |
境界域高LDLコレステロール血症 |
|
HDLコレステロール |
40mg/dL未満 |
低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド |
150mg/dL以上 |
高トリグリセライド血症 |
Non-HDLコレステロール |
170 mg/dL以上 |
高non-HDLコレステロール血症 |
150~169 mg/dL |
境界域高non-HDLコレステロール血症 |
※文献1を参考に作成
これらの数値は、治療薬を開始しなくてはならない数値ではなく、生活習慣を改めるための指標です。
■脂質異常症の原因とは
ここでは、脂質異常症を高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール、高トリグリセライド血症の三つのタイプに分けて栄養素摂取量との関連を説明します。
脂質異常症は栄養素摂取と関連性があるといわれています。
過剰なカロリー摂取量によって肥満になり、脂質異常症を悪化させるパターンと、特定の栄養素の摂取そのものが脂質異常症の悪化や改善につながるパターンとがあります。
脂質異常症の悪化につながる主な栄養素は飽和脂肪酸、食事性コレステロール、糖質です2。
また、栄養素摂取と関係なく、家族性高コレステロール血症や他の病気に伴って生じる続発性の脂質異常症などもあります。
このように、脂質異常症は必ずしも肥満のみが影響しているわけではなく、さまざまな要因が関連しています。
■脂質異常症の症状とは
脂質異常症そのものには目立った症状はないため、長年そのままにした結果、動脈硬化が進んでしまうケースも少なくありません。
長期的に脂質異常症の診断基準を満たした状態が続くと、動脈硬化によって生じる病気の一つである冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)の発症頻度は高くなります。
このため、無症状だからといってそのままにしておくのはとても危険です。なるべく早く、脂質の値を正常値へと改善させる必要があります。
■脂質異常症になったら何科を受診すればいいの?
脂質異常症で受診すべき科は内科です。
内科のなかでも、脂質代謝に関わる科である糖尿病内科・内分泌内科、脂質異常症によって引き起こされる動脈硬化の合併症である心筋梗塞や脳卒中、腎機能低下に関わる循環器内科、脳神経内科、腎臓内科が適切と考えられます。
■まとめ
脂質異常症の概要について説明しました。
当院では、脂質異常症の治療を含め、生活習慣病の治療、生活習慣の改善などにも対応しています。一人ひとりに合った治療内容をご提案しておりますので、気になる点がある場合はお気軽にご相談ください。
<参考文献>
1, 日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版.日本動脈硬化学会,2017
3, 山下 静也.動脈硬化性疾患 予防ガイドライン2017年版.日内会誌107:73-80,2018