「健康診断で高血圧と言われた」 具体的な対策や治療法について解説  |Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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「健康診断で高血圧と言われた」 具体的な対策や治療法について解説  


「最近初めて健康診断で高血圧と言われてしまった」などの理由で、高血圧について気になっていませんか?


今のところ身体に大きな変化はないからといってそのままにしておくと、脳梗塞や心筋梗塞などをはじめとしたさまざまな病気の原因になってしまいます。


今回は高血圧について具体的な対策や治療法を解説します。


■健康診断でいわれる高血圧とは?


高血圧の定義は140/90mmHg以上です。

健康診断で高血圧を指摘される場合、130/85mmHg以上が保健指導判定値、140/90mmHg以上が受診勧奨判定値1となっています。


保健指導とは、厚生労働省が設定したプログラムで、健康診断で生活習慣病に関する特定の基準を満たした対象者に、必要な行動変容に関する情報を提示し、自己決定できるように支援することを目的にしています2


つまり、血圧が130/85mmHg以上の場合は、保健指導で示されるような生活習慣の改善を行うことが必要になります。

また、140/90mmHg以上の場合は医療機関に相談し、内服開始などについて検討しましょう。


4月にも高血圧について解説しています。具体的な基準についてはこちらのブログ記事もご参照ください。

正常な血圧はどれくらい? 高血圧、低血圧の基準やなりやすい人について解説


■高血圧といわれたら?具体的な対策


では、高血圧と言われた場合、どのような対策を行ったら良いのでしょうか。

食事、運動、嗜好品などの生活習慣の修正をすることのほか、禁煙、防寒、情動ストレスのコントロールも有効だといわれています。下記の表をご参考ください。


<生活習慣の修正>

修正内容

具体的な内容

減塩

食塩摂取量6g/日未満

肥満の予防や改善

体格指数(BMI)25kg/m2未満

節酒

アルコール量で男性20~30mL/日以下、女性10~20mL/日以下

運動

毎日30分以上または週180分以上の運動

食事パターン

野菜や果物、多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取、飽和脂肪酸・コレステロールを避ける

禁煙

喫煙のほか間接喫煙(受動喫煙)も避ける

その他

防寒、情動ストレスのコントロール

※BMI:[体重(kg)÷{身長(m)}2]で算出

※一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話3 を参考に作成


次に、この表のそれぞれの項目を見ていきましょう。


◎減塩・食事パターン

食塩摂取量の多い日本人では減塩による降圧効果が大きいと考えられています。高血圧の方は1日6g未満が目標です。食事に関しては、いろいろな方法で工夫できるので、また来月以降のブログ記事でご紹介する予定です。


◎肥満の予防や改善

健康診断では、肥満はBMIで判断されます。BMIの正常範囲は18.5~25(kg/m2)で、それを超えると肥満となります。個人差はあるものの3~4kg減量すると血圧の低下が期待できるといわれています。


減量のためには、摂取エネルギーを抑え、併せて運動を行うと良いでしょう。また、摂取カロリーを減らすことそのものも、食事中の塩分を減らすことにつながります。


◎節酒

アルコール摂取量を適度に抑えることも大切です。飲酒直後の血圧は下がりますが、継続して一定量以上を飲むと高血圧の原因になってしまいます。上記の表のアルコール20~30mLは日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイン2杯程度に相当します。


◎運動

高血圧には、有酸素・持久性・動的運動が推奨されています。具体的には速歩・ステップ運動・スロージョギング・ランニングなどが挙げられます。


きつすぎる運動は運動中に血圧が上がってしまう可能性があるため、やや汗ばむ程度の運動にとどめておきましょう。時間は毎日30分以上もしくは週180分以上が目安です。

また、レジスタンス運動やストレッチも筋力維持や関節負荷を避けるためにも組み合わせると良いでしょう。


◎禁煙

喫煙をすると、ニコチン摂取、トロンボキサンA2上昇作用、酸化ストレス亢進、抗酸化能低下などのさまざまな弊害が身体に生じます。


ニコチンは、副腎からのカテコラミン分泌亢進による血管収縮作用があります。また、トロンボキサンA2上昇による強力な血管収縮作用もあり、いずれも血圧上昇に関与します。


また、酸化ストレスに長い間さらされることや、抗酸化能の低下がみられると動脈硬化につながり、動脈硬化によってさらに血圧上昇につながってしまいます4


このため、高血圧の対策には禁煙が必要不可欠です。


◎その他

防寒や情動コントロールも、高血圧の対策には必要です。寒いと体温維持のための身体の反応の結果血圧は上がりやすくなってしまいます。


情動コントロールは盲点になりやすいのですが、実際に外来に通院されている方には、デイサービスでのコミュニティでストレスを抱えていた方が、通所先の変更後、血圧がやや下がり、降圧薬を1剤減らすことができた、というエピソードもあったりします。


■高血圧といわれたら?治療内容


血圧140/90mmHg以上の場合は、まずは上記のような食事・運動などで対策します。それでも改善しない場合は降圧薬の開始を検討してみましょう。


降圧薬には、全身の血管を拡張させるものや、腎臓の血管に作用するもの、利尿を促すもの、その他さまざまな機序で降圧作用がみられるものなど、多くの種類があります。


これらの内服は、これまでの健康診断結果や受診時の血液検査などで身体の状態を確認してから開始されます。

初めての受診のときは、これまでの健康診断の結果を持参するとより適切な治療を開始することができます。


■まとめ


高血圧の対策や治療について概要を説明しました。一度高血圧を指摘されたら、その後改善してもまた高血圧になりやすい体質にはなるので、対策や治療について良く知り、ご自身に合ったオーダーメイドの治療をすると良いでしょう。


お悩みの方はぜひ、当院へご相談ください。


<参考文献>

1, 厚生労働省.健診検査項目の健診判定値 (最終閲覧日2025年4月29日)

2, 厚生労働省.第3編 保健指導(最終閲覧日2025年4月29日)

3, 日本高血圧学会 編. 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話 (最終閲覧日2025年4月29日)

4, 藤掛彰則ら.【第14回禁煙推進セミナー】<喫煙と循環器疾患up to date>2.喫煙と心不全.日本循環器学会専門医誌 循環器専門医第24巻第1号.2016


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