糖尿病の治療と食事の工夫は切って離せません。食事の内容次第で、糖尿病の程度が改善する方も少なくありません。
今回は糖尿病の食事におすすめのメニューと避けた方がよいものについて解説します。
糖尿病の原因や初期症状についてはこちらの記事もあわせてご確認ください。
■糖尿病の食事におすすめのメニュー
糖尿病の発症やその悪化は、血糖値が持続的に上昇している状態や、食後の血糖値が急上昇することに影響を受けます。
血糖値に影響する栄養素はおもに炭水化物です。糖尿病への影響を少なくするためにも、まずは炭水化物を上手に摂取しましょう。あわせて、たんぱく質と脂質の摂り方も工夫しましょう。
日本人の糖尿病の食事療法では、適正なエネルギー摂取量は、性、年齢、肥満度、身体活動量、合併症の有無などを考慮し、一日あたりの目安エネルギー摂取量は<身体活動量>×<標準体重>により算出します。
身体活動量の目安として、デスクワークなどの軽労作は25~30kcal、立ち仕事など普通の労作は30~35kcal、力仕事など重労作は35~kcalとされています(1)。
バランスのとれた食事は、このエネルギー量の40~60%を炭水化物から、タンパク質は20%まで、脂質はその残りとし、ビタミン、ミネラル、食物繊維を過不足なく摂取するようにします(2)。
※標準体重とはBM22に該当する身長毎の体重で、(身長(m))2×22で計算します。例えば、身長170cmの方であれば63.6kg(1.7×1.7×22=63.58)です。
◎自宅でのおすすめメニュー
自宅でできる糖尿病の食事のポイントは食物繊維を合わせて摂ることです。
食物繊維はヒトの消化酵素では消化吸収されないため、血糖上昇を抑える働きがあります。水溶性の食物繊 維は、粘りがあり胃から小腸への移行を遅らせ、栄養素を包み込み吸収を緩やかにし、血糖上昇を抑制します。
水溶性食物繊維を多く含む食品は海藻類の昆布やわかめ、イモ類ならサツマイモ、果物ではミカンやキウイなどが挙げられます。
また、精製された白米や白パンは摂取後の血糖値が急激に上がりやすいため、これらを雑穀米や玄米、全粒粉パンなどの食物繊維の多い主食に変えることもおすすめです。
自宅でのおすすめのメニューは、
主食:玄米や雑穀米(苦手な方は白米とミックスしても良い)
主菜:青魚などの質のよい脂質を含んだたんぱく質
副菜:スープに海藻類を含むわかめスープや、海藻サラダ
などの組み合わせになります。
◎コンビニで選ぶメニュー
自宅でのメニューと異なりアレンジを加えることは難しいですが、コンビニでも糖尿病に気を付けたメニューを選ぶことは可能です。
最近、低GIと表記されたヨーグルトなどの製品がコンビニでも多く取り揃えてあります。グリセミックインデックス(Glycemic Index: GI) とは同じ糖質量を含む食品を摂取しても、食物繊維を多く含む食品は血糖値が上昇しにくく、血糖上昇曲線下面積が小さくなる(1)ことに着目したものです。
低GI食品を積極的に取り入れることが糖尿病管理に効果があるかどうかについては、十分な研究結果はありませんが、低GI食品には食物繊維を多く含むものがあるので、食物繊維が不足している場合は取り入れるのもいいでしょう(2)。
コンビニのお惣菜だとカロリーの記載だけでなく、炭水化物や脂質、たんぱく質などの表記も細かいため、ご自身の摂取目安カロリーに合わせた食事を組み合わせることができます。
コンビニで食事を選ぶとしたら、おにぎり(なるべく雑穀米などが入ったもの)とサラダ、焼き鳥、ゆで卵などを合わせると良いでしょう。おかずはなるべく揚げ物ではなく炒め物などを選択すると脂質の摂取を抑えることができます。
また、おやつが欲しい場合はナッツなどの良質な脂質や食物繊維が摂れるものをおすすめします。
■糖尿病で避けた方がよいもの
◎丼物などの単品メニュー
親子丼や牛丼などの単品メニューだと、野菜類の摂取が少なくなるため、これらの単品メニューを選択する場合はサラダや汁物などのサイドメニューをつけると良いでしょう。
◎揚げ物やひき肉、菓子パンなど
揚げ物やひき肉を使ったお惣菜、菓子パン類は多くの脂質を含んでいるので、摂取カロリーを超過してしまいがちです。なるべく避けた方が良いでしょう。
■まとめ
糖尿病の食事におすすめのメニューを中心に説明しました。
糖尿病の改善を目的にした食事は、高血圧や脂質異常症の改善につながることも多く、取り組むことで一石二鳥以上のメリットにつながる可能性があります。
気になる方は積極的に取り組んでみましょう。疑問がある場合は、お気軽にご相談ください。
<参考文献>
1, 今井 佐恵子,他.食事の質と量だけでなく食べ方と食べる時刻も血糖指標に影響を与える.食物学会誌74(1):1-9. 2019
2, 一般社団法人 日本糖尿病学会. 日本糖尿病学会がすすめる 健康食スタートブック~生活の質向上を目指して~