「高血圧って生活習慣関連だから、太っている人がなるものでしょう?」そう思っている方もいるかもしれません。実は、高血圧の原因は肥満だけではありません。
今回は、高血圧について知りたい人に、高血圧の原因について簡単に解説します。
■高血圧になりやすい人の特徴とは?
日本人の高血圧の約8-9割は、原因を1つに定めることのできない本態性(ほんたいせい)高血圧です1。本態性高血圧の主な原因は、遺伝的素因(体質)、塩分の摂りすぎ、肥満などが挙げられます。
また、中年以降にみられやすいという特徴もあります1。
実際に、5年間毎年人間ドックを受診している1,701人を対象とした、高血圧発症の危険因子を評価した研究では、5年間のうち高血圧発症した危険因子に、年齢、body mass index(BMI/[体重(kg)]/[身長×身長(m2)])、高血圧の家族歴、初年度の収縮期血圧、初年度の拡張期血圧が報告2されています。
また同研究では、BMIが2.5kg/m2以上変化すると収縮期血圧では約10mmHg変化し、拡張期血圧では約4mmHg変化2することや、BMIの増加の場合に、低下の場合と異なり、2.5kg/m2以下の変化であっても収縮期、拡張期血圧の増加がみられる2ことも報告されていました。
以上より、高血圧の家族歴のある中年以降の方で、塩分の摂りすぎや体重増加・肥満傾向があると高血圧になりやすい可能性が高いと考えられます。
高血圧について紹介した過去記事もご覧ください。
参考記事:
正常な血圧はどれくらい? 高血圧、低血圧の基準やなりやすい人について解説
■痩せていても高血圧になる?
本態性高血圧の原因の一つに肥満が挙げられる一方で、やせていても高血圧になる場合があります。
高血圧のうち、本態性高血圧以外の1~2割に該当する二次性高血圧の場合、やせていても高血圧になることがあります。
二次性高血圧とは、何らかの病気などの背景によって起こる、原因の明らかな高血圧です。
主に下記の4つの原因1が挙げられます。
-
腎臓の働きが悪くなって塩分と水が排出されにくくなる
-
副腎など内分泌腺の病気によって血圧を上げるホルモンが身体のなかに増える場合
-
血管の病気
-
他の病気のために使っている薬剤の影響
薬剤の影響や内分泌系の病気の影響などを想定すると、やせていても高血圧になる可能性があるということは理解しやすくなるかもしれません。
■高血圧にならないために
やせているのに、何らかの原因によって高血圧となった場合でも、肥満などのさまざまな要因により高血圧になった場合でも、高血圧そのものは血管に負担がかかり、長期的には動脈硬化のリスクになってしまいます。
このため、高血圧にならないための対策が重要です。
やせているのに高血圧になっている場合は生活習慣の改善のほかに、①~④のような高血圧の原因を調べることをおすすめします。
また、本態性高血圧の原因のうち、塩分摂取量や体重管理など、遺伝や年齢以外の要因について、日ごろの生活習慣から見直すようにしましょう。
高血圧の対策や治療法について解説した記事もご覧ください。
参考記事:
「健康診断で高血圧と言われた」 具体的な対策や治療法について解説
日常生活からできる高血圧対策はこちらの記事もご参照ください。
参考記事:
高血圧対策に向いている食べ物・飲み物 -塩分の摂取目安などもご紹介-
■まとめ
高血圧の原因をあらかじめ知っておくことで、高血圧や動脈硬化のリスクを減らすことができます。
その結果として、健康に過ごせる時間を長く保ちやすくなります。
高血圧のことでお悩みの方は、当院へご相談ください。
みなさまの高血圧に関するお悩みに、スタッフ一同寄り添い、一人ひとりに合った解決法をご提案します。
<参考文献>
1, 日本高血圧学会編.一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話
2, 戸田晶子,他.高血圧発症因子に関する縦断的研究.人間ドック 25(3):45-50. 2010