親が糖尿病だと子どもに遺伝するの? その関係性と確率とは|Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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親が糖尿病だと子どもに遺伝するの? その関係性と確率とは


「親が糖尿病だから私もそうなるかもしれない」、「夫の家系に糖尿病が多いから、子どもも将来なるのでは?」このような疑問をもって外来にいらっしゃる方は少なくありません。


今回は、気になる糖尿病と遺伝について簡単に解説します。


■糖尿病はほぼ遺伝しない


糖尿病には、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などの代表的なパターンがあります。


1型に関しては、自己免疫が関係しているので、遺伝とは直接かかわりはありません。2型糖尿病に関しては、糖尿病になりやすい体質と糖尿病になりやすい生活習慣の組み合わせで発症するといわれています。

妊娠糖尿病は、妊娠時のホルモンバランスに大きく左右されます。


ただし、若年発症成人型糖尿病やミトコンドリア病などのごく一部では、遺伝によって糖尿病が発症することがあります。


■糖尿病の家族がいると糖尿病になりやすい


実際に糖尿病の家族がいると、糖尿病になりやすいという報告はあります。2024年に報告された、アメリカのユタ州で行われた36万人規模の大規模家系研究では、両親やきょうだいのいずれかに糖尿病の方が2人以上いる若年〜中年層の方は、該当者がいないケースに比べて発症リスクが約3.3倍であったとされています1


ここまで読むと「やっぱり糖尿病は遺伝なの?」と思う方もいるかもしれません。

「家族歴=遺伝」と捉えてしまうのは自然なことです。


家族歴には、遺伝的要因に加えて環境的要因も含まれています。そして、肥満、飲酒や食習慣といった生活習慣因子は家族歴と関連しており、これらの非遺伝的要因が家族歴と糖尿病リスクの関連の大部分を占めているといわれています2


さらに、家族歴は修正不可能なリスク因子ではあるが、家族歴をもつ高リスク者を早期に特定し、介入することは、比較的やせ型のアジア人における2型糖尿病の一次予防に有効であることも報告されています2


■糖尿病にならないために


家族に糖尿病があっても、糖尿病を発症せずに生活することは工夫によって可能にすることができます。「糖尿病になりやすい体質」そのものは、「生活習慣で予防できる体質」とポジティブに考えるとよいかもしれません。そのためには以下のことを実践するようにしましょう。


  • バランスのよい食事

  • 間食をダラダラと摂らない

  • 定期的な運動

  • 十分な睡眠

  • 適正体重の維持


これまでのブログ記事でも糖尿病に関する内容があるので、こちらも参考にしてみてください。


参考記事:

糖尿病の食事におすすめなメニュー|ダメなものってある?

糖尿病を治療しないとどうなる? 治療薬から生活改善までの全体像を紹介


■まとめ


糖尿病に悩まされている方は少なくありません。必ずしも家族が発症するものではないので、糖尿病の当事者もその家族も落ち込む必要はありません。

生活習慣次第で、糖尿病の方はその状態を改善することができます。そして、その家族の方も糖尿病に今後なりうるリスクを下げることも可能です。


糖尿病に関するお悩みやご不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


ご本人だけでなく、ご家族の不安にも寄り添い、安心して毎日を過ごせるようサポートいたします。

糖尿病の方やその家族の方にとって、安心して毎日を過ごせるお手伝いをいたします。


<参考文献>

1, Ken R Smith, et al. Family history of type 2 diabetes and the risk of type 2 diabetes among young and middle‐aged adults.Chronic Dis Transl Med. 2024 Jul 23;11(1):46–56.

2, Masaru Sakurai, et al. Family history of diabetes, lifestyle factors, and the 7‐year incident risk of type 2 diabetes mellitus in middle‐aged Japanese men and women. J Diabetes Investig. 2013 Feb 13;4(3):261–268.


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