
減塩タイプの調味料を手に取りながら、「とりあえず減塩が身体に良さそうだけど、どうして?」と、ふと立ち止まったことはありませんか。
日常の味付けに欠かせない塩分を上手に楽しむためにも、高血圧と塩分の関係を知っておくとよいかもしれません。
今回は、塩分がなぜ高血圧の原因になるかについて解説します。
■血管に注目した高血圧のしくみ
血圧が上がる理由はいくつかあり、塩分の摂りすぎや、怒ったとき、走った直後、動脈硬化など、さまざまな要因があります。こうした要因によって血管の壁に加わる圧がある一定の値を超えたときに、高血圧の状態になってしまいます。
塩分の摂りすぎで血液中のナトリウムの濃度が濃くなってしまうと、身体は血管の周囲の水分を血管の中に取り込む、のどが渇いて水分補給をする、などの反応が起こります。
これは、身体が血液の濃度を一定に保とうとする働きによるものです。その結果、血液の水分量が増え、血管の壁が押されることで血圧が上がります。
怒ったときや走った直後などは、自律神経の影響で一時的に心拍数や血流量が上がり、その結果血管を流れる血流が増えるため、血管が押されて血圧が上がります。
動脈硬化で血圧が上がるのは、血管のしなやかさが減るために、血流量の変化によって血管の壁に及んだ圧を周囲に分散させることが難しくなってしまうことなどが関係しています。
このほか、ホルモンなどの身体を維持するための機能が臓器や手足の血管に送る血液の量を調整するときに血圧は変動します。
■減塩で期待できる身体の変化
減塩を心がけると、血圧をより適性値に近づけ、動脈硬化の悪化を和らげられる可能性があります。減塩で期待できる身体の変化に関しては、注目され続けている分野でもあります。
2025年の文献でも、食事中のナトリウム摂取量の減少は、それ単独でも推定10年ASCVD(動脈硬化性心血管疾患/心筋梗塞や脳卒中、腎臓の障害など)リスクを低下させると報告されていました1。
このように、減塩は血管の状態の維持につながり、より長く健康でいられる身体作りを目指すことができます。
簡単に始められる減塩対策については以前の記事をご参考ください。
高血圧対策に向いている食べ物・飲み物 -塩分の摂取目安などもご紹介-
■近年注目されている減塩の方法|カリウム含有減塩塩
塩分の摂りすぎによる血圧上昇は、長時間にわたり維持されやすい傾向があります。体内に取り込んだナトリウムが、尿から排泄されるまでに時間がかかることが要因の1つです。
そして、現代社会の食生活では、塩分を摂りすぎてしまう傾向があることもよく知られています。実際に、2019年時点での世界平均ナトリウム摂取量は1日4.3g(食塩11g相当)と推定されており、WHOの推奨摂取量である1日2g(食塩5g相当)の約2倍に相当します2。
ここで最近注目されているのが、低ナトリウムの食塩代替品です。塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えた、カリウム含有減塩塩というもので、ナトリウム摂取量を少なくするのに加え、健康面での利点が得られる可能性があると考えられています2。
実際に、文献などで検討されているカリウム含有減塩塩は、塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%の構成です3。
カリウム含有減塩塩はナトリウムおよびカリウムの摂取状況を改善し、血圧を低下させるとともに、心血管イベントおよび死亡率を減少させる有効な選択肢であるという見解が示されています3。
一方で、カリウム含有減塩塩の使用は、進行した腎疾患がある場合、カリウム補充剤を使用している場合、カリウム保持性利尿薬を使用している場合、あるいはその他の禁忌がある場合を除くように3、と提言する文献もあります。
これは、身体がカリウムの濃度調整を行いにくい状況に陥ると、高カリウム血症に陥ってしまう可能性があるからです。高カリウム血症があると、重大な不整脈を起こしてしまうこともあります。
このため、カリウム含有減塩塩を検討する場合には、医療機関に相談してみるのもよいかもしれません。
■まとめ
減塩は、適切な血圧を保つうえで欠かせない取り組みです。糖質と同様に、食塩についても代替品への注目が高まるなか、基本的な減塩習慣を日常生活に意識的に取り込みたいと思う方も少なくありません。
「今年こそは健康な身体に近づきたい!」と運動を始める方もいるかもしれません。
年齢や体型、生活習慣が異なる全ての人に、同じように当てはまる正解を提示することは難しいかもしれません。ただ、私たちは、みなさま一人ひとりの暮らしや自分らしさに見合う選択を、寄り添いながら提案していきたいと思っています。
今年も、よりよい一年となるよう、当院一同応援してまいります。
<参考文献>
1, Hanna MK,et al. Dietary sodium reduction lowers 10-year atherosclerotic cardiovascular disease risk score: Results from the DASH-sodium trial. American Journal of Preventive Cardiology.2025;22:100980.
2,WHO. Launch of the WHO guideline on the use of lower-sodium salt substitutes.
3, Xiaoyue X et al.Potassium-Enriched Salt Substitutes: A Review of Recommendations in Clinical Management Guidelines.Hypertension.2024;81(3).400-14.
