高血圧が招く合併症とは?高齢者に多いリスクと代表的な疾患|Leo葵クリニック|名古屋市新栄の神経内科・内科

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高血圧が招く合併症とは?高齢者に多いリスクと代表的な疾患


「高血圧が良くないのは知っている。でも、目立った身体の変化もないし、忙しいから今の生活スタイルを変えたくない。様子をみていても大丈夫だよね?」

飲食店で、お酒を片手におつまみを食べながら、このような会話をしている方を見かけたことはありませんか?


冬は寒さで血圧が上がりやすい時期のため、改めて高血圧について気になってしまう方も少なくありません。


<参考記事>

高血圧になるとどうなる?|寒い冬に血圧が上がる理由について


今回は、高血圧の状態のまま年齢を重ねた場合に、高齢者に多い代表的な疾患を中心に解説します。


■高血圧の概要(おさらい)


高血圧の診断基準は「診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上」とされています。


2019年の高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2019)では、年齢に応じた降圧目標が設定されていましたが、JSH2025では、すべての年齢において「診察室血圧130/80mmHg未満(家庭血圧125/75 mmHg未満)」と推奨されています1


高血圧の状態をそのままにしておくと、血管の壁に強い圧力がかかりやすくなります。血管壁はその圧力に耐えるために、次第に厚く硬く変化し、動脈硬化へと繋がってしまいます。


さらに、血管の弾力性が失われて、血管の内側が広がりにくくなり、血圧がさらに上昇する悪循環に陥ることがあります。この悪循環が続くと、高血圧による合併症が生じてしまう可能性があります。


動脈硬化については以前の記事をご覧ください。


<参考記事>

よく聞く「動脈硬化」とはどんな病気? 原因・症状を知って早期発見につなげよう


■高血圧が続くと招くことがある合併症


高血圧が続くと、心臓は高い圧に逆らって血液を送り出す状態(負荷が大きい状態)が続きます。これに適応するため、心筋が厚くなる変化(左室肥大)が起こり、長期的には心臓のしなやかさが落ちて心不全につながることがあります2


長期的な高血圧の影響は、血管壁が弱い細い血管に現れやすく、細い血管が多い臓器ほど早く障害される傾向があります。


さらに、高血圧が長期間続き、太い血管の障害が起きると、脳卒中や心臓病、あるいは動脈瘤破裂(どうみゃくりゅうはれつ)といった重い合併症へと繋がってしまいます3


<高血圧の主な合併症>

部位

主な疾患

概要

脳出血

脳梗塞


・脳の血管が詰まる脳梗塞と、血管が破れる脳出血がある

・発症時の症状は、麻痺やろれつのまわりにくさ、めまい、嘔吐、意識障害など

心臓

狭心症

心筋梗塞

心不全

・冠状動脈(心臓の表面にある、心臓に栄養を送る血管)の動脈硬化による狭心症や心筋梗塞

・高血圧に対応し心臓がオーバーワークを続けた結果生じる心肥大、それらによる心不全など

眼底出血

眼底出血などが起きると、視力が低下しうる

腎臓

腎硬化症

・尿にタンパクや赤血球が排出される

・むくみが現れる

・腎機能低下が進行すると、人工透析を受けないと生命を維持できなくなります。

全身

大動脈瘤

・動脈瘤の大きさ次第では破裂のリスクがある

※文献3を参考に作成


■高血圧の合併症のリスク


高血圧の主な合併症のうち、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病を起こしやすい明らかなリスク因子についても注目されています。


特に目立った背景疾患がない方であっても、若年者と比べると、「65歳以上」、「男性」、「脂質異常症」、「喫煙」の4項目がリスクであるといわれています4


さらに、この4項目のうち3項目に該当する方で、「脳心血管病の既往」、「非弁膜症性心房細動(ひべんまくしょうせいしんぼうさいどう)」、「糖尿病」、「蛋白尿(たんぱくにょう)のある慢性腎障害」のいずれかを有する場合、高血圧の程度によらず脳心血管病を発症するリスクがとても高いとみなされます4


なかでも、「蛋白尿のある慢性腎障害」は高血圧そのものや糖尿病の影響を受けます。すなわち、高血圧が招いてしまう合併症のリスクを下げるためには、高血圧の管理だけではなく糖尿病の管理もしっかりと行う必要があります。糖尿病と腎臓の関係はこちらの記事を参考にしてください。


<参考記事>

糖尿病の合併症に要注意! 目や足の異変は初期症状かも?


■まとめ


高血圧そのものは目に見える変化が現れにくく、合併症が明らかになるころには、すでにさまざまな疾患のリスクを抱えた状態になっていることが少なくありません。


高血圧の合併症を知ることで、早めの高血圧対策へ意欲的に取り組めるかもしれません。


高血圧について気になることがあれば、ぜひ当院へご相談ください。最新のガイドラインや医学的な知見も踏まえながら、みなさま一人ひとりの身体や環境に合った適切な方法をご提案します。


<参考文献>

1, 阿部雅紀. 高血圧管理・治療ガイドライン2025~改訂ポイント~.日大医誌.2025;84(6):257–61.

2, Xuewei H, et al. Hypertensive Heart Disease: Mechanisms, Diagnosis and Treatment. Rev. Cardiovasc. Med. 2024;25(3):93.

3, 日本臨床内科医会.わかりやすい病気のはなしシリーズ9 高血圧.

4, 平和伸仁,他.高血圧治療ガイドライン2019. 日内会誌.2020;109:778-83.


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