
糖尿病予備軍と言われて、なんとなく不安になっていませんか?
春の健康診断で「要注意」「要受診」と書かれていて、落ち込んでしまった方もいるかもしれません。
糖尿病ってなんだか怖いし、できれば避けたいですよね。糖尿病によるいろいろな病気のリスクを知っているから、絶対になりたくないという方もいるかもしれません。
いずれの場合も糖尿病にならないための方法を知っておくと、いざというときに役に立ちます。
結論を先に言ってしまうと、糖尿病予備軍の方に対して知っておいて欲しいことは、「血糖値がどのくらいか」だけでなく「血糖値がどのように上がるか」です。
この考え方を持っておくと、自分の状態に合わせて糖尿病を予防する工夫がしやすくなります。
目次
■糖尿病予備軍の数値は?
糖尿病予備軍とは、2型糖尿病、つまり生活習慣などの影響で発症する糖尿病に今後移行してしまう可能性が高い人のことをいいます。
糖尿病予備軍と言われる状態は、空腹時の血糖値とHbA1c(ヘモグロビン エー ワン シー)で判断します。手元の結果と照らし合わせてみましょう。
これらの数値そのものはあくまでも、日常生活の1コマを切り取ったものに過ぎませんが、自分自身の現在地を知るという点においては非常に優秀なツールです。
◎空腹時血糖
空腹時血糖は、絶食10時間以上の状態で測定します1。
基準値は下記の通りです2。
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基準範囲※ |
要注意 |
異常 |
|
99 mg/dL |
100-125 |
126 |
※将来、脳・心血管疾患を発症しうる
可能性を考慮した基準範囲
異常値である126 mg/dL以上の場合は、糖尿病型(糖尿病の可能性が高い方)と判断されます。
同時に測定したHbA1cの値が異常値であること、もしくは後日の血糖値検査(空腹時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値、随時血糖値)で異常値の場合に糖尿病と診断されます。
このため、糖尿病予備軍とは、要注意区分の100-125mg/dLと考えるとよいかもしれません。
また、異常値区分の126mg/dL以上の場合は「すでに糖尿病に片足(もしくは両足)踏み入れた状態」と考えると、整理しやすいかもしれません。
◎HbA1c値
HbA1cとは、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映します2。このため、検査前数日の節制に左右されません。
基準値は下記の通りです。
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基準範囲※ |
要注意 |
異常 |
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5.5%以下 |
5.6-6.4% |
6.5%以上 |
※将来、脳・心血管疾患を発症しうる
可能性を考慮した基準範囲
HbA1c6.5%以上の異常値の場合、同時に測定した血糖値が異常値の場合に糖尿病と診断されます。このため、HbA1cの値で考える糖尿病予備軍とは、要注意区分の5.6-6.4%としておきましょう。
また、異常値区分の6.5%以上の場合は「すでに糖尿病に片足(もしくは両足)踏み入れた状態」と考えると、整理しやすいかもしれません。
■糖尿病予備軍から抜け出すための3つの方法
糖尿病予備軍となってしまっても、落ち込む必要はありません。食事や運動などの工夫が、代謝のバランスを整えることにつながり、糖尿病予備軍のリスクを下げていくことにつながります。
◎方法1|空腹の時間をしっかり作ろう
間食をすると糖尿病になってしまう、というのを耳にしたことがあるかもしれません。
高血糖そのものは炎症を引き起こし、その結果インスリンを分泌するβ細胞のアポトーシス(細胞死)に繋がることもあります3。
間食や、甘い飲み物などは血糖値が下がりきらない状態が続きやすくなります。
繰り返される高血糖によるアポトーシスの程度が膵β細胞量の再生を上回ると、血糖負荷に対するインスリン分泌は低下し、さらなる高血糖を招くことになってしまいます3。
ポイントは、「食べる量」よりも「血糖が下がる時間をしっかり作ってあげること」です。
お菓子などの間食だけでなく、コーヒーはブラックにすることをおすすめします。実は、コーヒーに入れるミルクも血糖値に影響するという点を見落としている方が、糖尿病外来では少なくありません。これもよくある落とし穴の一つです。
◎方法2|血糖値のスパイク上昇を避けよう
急激な血糖変動は、持続的な慢性高血糖よりも有害である可能性があることがこれまでの研究で報告されています4。
つまり、血糖値は「高さ」よりも「上がり方」が問題になることも注目されているのです。続けて、血糖スパイクを避けるための具体的な方法をご紹介します。
ベジファースト、海藻ファーストにしよう
食物繊維のうち、水溶性食物繊維は水に溶けて血糖値やコレステロールの上昇を防ぐことができます5。
水溶性食物繊維は海藻、果物、豆類、いも類、大麦などに多く含まれています。このため、海藻スープや野菜の入った副菜から先に食べるなど、ベジファースト、海藻ファーストの習慣を作るとよいでしょう。
朝ごはんを食べよう
朝食を抜くと、昼食後や夕食後の食後血糖値の上昇が大きくなることがこれまでの研究で報告されています6。
朝食は「その場の血糖」だけでなく「次の血糖」を整える役割があることは知らない方も多いかもしれません。バナナ1本やヨーグルト程度でも良いので、朝食を摂る習慣をつけましょう。
◎方法3|運動をして代謝を変えよう
運動には、筋肉での糖の利用を促し、血糖値を下げる作用があります。つまり、血糖値を下げるだけではなく使うことにも意味があります。
運動の頻度は週に150分を目安に、週に3回以上、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動、運動持続時間は20分以上行うことが勧められています7。
普段の通勤でエスカレーターから階段に変える、歩くスピードを意図的に速くするなどの工夫でこれらの目標の達成を目指していきましょう。
■まとめ
血糖値は「数値」だけではなく、「日々の生活」で変わります。その点を理解すると糖尿病予備軍という言葉と前向きに向き合えるようになるでしょう。
健康に自信をもって、明るい毎日を送ることができるように、今すぐ取り組んでみましょう。
<参考文献>
1, 厚生労働省: 血糖値 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット)
3, Ichiro Kishimoto et al: Impact of Lifestyle Behaviors on Postprandial Hyperglycemia during Continuous Glucose Monitoring in Adult Males with Overweight/Obesity but without Diabetes. Nutrients 2021;13.
4, International Diabetes Federation Guideline Development Group:Guideline for management of postmeal glucose in diabetes. Guidelines.2014;103:256-268.
5, 厚生労働省: 食物繊維 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット)
6, Daniela Jakubowicz et al: Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes.Diabtes Care;2015;38(10): 1820–26.
