
気温が急に上がって、汗ばむ日が増えてきましたね。「お出かけの時には、こまめに水分補給を」と耳にする機会も増えますが、経口補水液やジュースなどを選んでいませんか?
もちろん、これらも水分補給の方法の1つですが、普段の水分補給のすべてを糖分が含む飲み物にしてしまうのは、健康面で注意が必要です。
特にペットボトル飲料は、糖分を含んだ飲み物が少なくありません。これらの飲みすぎで、ペットボトル症候群という危険な状態に陥り、場合によっては早急な対応が必要になる場合があります。
今回は、ペットボトル症候群についてご紹介します。
目次
■ペットボトル症候群とは?|症状となりやすい人
ペットボトル症候群とは、糖尿病の自覚のない人が、症状のひとつ「のどの渇き」を癒すため、砂糖が入ったペットボトル飲料を多飲していたことで名づけられた造語です1。
医学的には清涼飲料水ケトーシス(もしくはソフトドリンクケトーシス)といわれています。
◎なぜ危険な状態になるのか(仕組み)
糖尿病のある方や、もともと血糖を調節する力が低下している方が、糖分の多い飲料を過剰に摂取すると、脱水になってしまいます。
身体が抱えられない量の糖分を尿に排泄するときに水分も一緒にもっていってしまうからです。また、その水分は血液中の水分だけでなく、全身の細胞の水分も奪ってしまいます。
このため、高血糖による浸透圧利尿という状態になり、のどの渇きが収まらず水分をさらに摂りたくなります。その際にまた糖分の高い飲み物を摂取すると、これらの状態がさらに悪化してしまうのです。
その結果、高血糖の状態が続いてしまいます。
◎進行するとどうなるの?
少し難しい話ではありますが、この状態が続くと、さらに危険な状態へと陥ってしまいます。
さらに状態が進行すると、インスリンが不足してしまい、うまく血糖をエネルギーとして使えなくなってしまいます。そして、身体はエネルギー不足の状態と認識し、脂肪を分解してエネルギーを作ります。
その結果できたケトン体の量が増えすぎてしまうと、身体が酸性に強く傾いてしまいます。
これは糖尿病ケトアシドーシスなどの高血糖性緊急症と呼ばれる危険な状態で、一連の症状の中で意識障害を起こすことがあります2。
◎ペットボトル症候群になりやすい人の特徴と受診の目安
ペットボトル症候群になりやすい人の特徴に、若年者で肥満があり、糖尿病の家族歴があることが多いとされています3。
また、当事者が糖尿病を自覚していないケースもあるため、水分を異様なほどに飲んでいてものどの渇きが収まらない、倦怠感が強い場合は、摂取している水分に糖分が多く含まれていないかを確認しましょう。
さらに、意識がもうろうとしているなどの症状があった場合は、すぐに医療機関への受診を検討しましょう。
■ペットボトル症候群を防ぐためには?
全てのペットボトル飲料にペットボトル症候群をきたすようなリスクがあるわけではありません。
10%程度の糖分を含む清涼飲料水を水分摂取目的で飲むのは避け、ミネラルウォーターやお茶飲料を選ぶようにしましょう。
また、ミネラルウォーターやお茶飲料だけでは、熱中症対策に必要なナトリウムなどの電解質が十分に含まれていないことがほとんどです。
このため、汗を多くかく環境では、必要に応じて経口補水液などを活用することも検討しましょう。
■まとめ
ペットボトル飲料の種類は多く、フレーバーも用途もさまざまです。
気温が上がる中で安全な水分摂取をするためにも、糖分の入っている清涼飲料水に偏らず、バランスの良い水分摂取を心がけ、夏を快適に過ごしましょう。
<参考文献>
1, 全国清涼飲料連合会: 「ペットボトル症候群」ってなんですか?
2, 久富昭孝: 意識障害:診断と治療 1.ケトアシドーシス.日内会誌.2004;93(8):4-10.
3, 岡庭豊 編:year note2027内科外科 清涼飲料水(もしくはソフトドリンク)ケトーシスまたはケトアシドーシス.メディックメディア.
