
親がアルツハイマー型認知症と診断されたとき、「自分もいずれ同じようになるのでは」と感じる方もいるかもしれません。
認知症の発症には遺伝的な要因だけで決まるものではありません。実は、認知症の発症リスクの約40%は生活習慣などで修正可能と推定されています1。
なかでも、高血圧と認知症の関係は近年注目されているトピックスの1つです。
また、高血圧が身近になる世代は、親の介護、将来の認知機能の低下などへの心配を抱えていることも少なくありません。
今回は、そのような不安への助けとなるよう、高血圧と脳の健康の関係について解説します。そして、認知症の発症リスクを下げるために知っておきたい高血圧との付き合い方についてご紹介します。
■高血圧と認知症の意外な関係
高血圧や、動脈硬化と関係する病気に、心筋梗塞や脳梗塞があることはこれまでのブログでもご紹介してきました。
参考記事:よく聞く「動脈硬化」とはどんな病気? 原因・症状を知って早期発見につなげよう
脳梗塞を繰り返すことで認知機能が低下する、脳血管性認知症は、高血圧と直接関係のある認知症として知られています。
一方で、高血圧はこのような血管の病気を通じてだけでなく、アルツハイマー型認知症との関連も指摘されています。
たとえば、高血圧のある人では、脳の白質の変化や灰白質の容積の減少がみられやすく、これらはアルツハイマー病の発症や進行に関わる可能性があると考えられています2。
また、高血圧によるアルツハイマー型認知症の発症リスクの一部は、脳卒中を介して説明されることも報告されています。2023年の報告では、その割合は約55%とされていました2。
このように、高血圧は脳の血管にダメージを与えることで認知機能に影響するだけでなく、脳の構造や働きにも変化をもたらし、アルツハイマー型認知症の発症にも関わっている可能性があります。
■認知症の発症リスクを下げるための高血圧対策
では、認知症の発症リスクを下げることを視野に入れた血圧の目標値について考えてみましょう。
脳の血管を保護するための血圧の目標値は、脳梗塞後の血圧の管理目標を参考にするとよいでしょう。脳卒中のガイドラインでは、その目標値は130/80mmHg未満と設定しています3。
高血圧は、目標値付近ではなく、目標値を下回るような治療の調整をするよう、検討しましょう。
また、食事中の塩分を少し減らす、運動をして血流を増やすなどの日常生活からできることを始めてみてもよいかもしれません。
日常からできる高血圧対策に関しては、こちらの記事もご参考ください。
参考記事:「健康診断で高血圧と言われた」 具体的な対策や治療法について解説
参考記事:高血圧対策に向いている食べ物・飲み物 -塩分の摂取目安などもご紹介-
■まとめ
認知症は、年齢を重ねることでどの方にも身近になる病気の1つです。しかし、高血圧を含む生活習慣病のリスクなどとうまく付き合うことで、その発症を遅らせることができるかもしれません。
特に目立った自覚症状がなくても、将来の認知症の発症リスクを下げるために、日々の生活の中で高血圧対策を始めてみませんか?
生活の中で取り入れやすい方法から始めたい方も、しっかりと管理していきたい方も、それぞれのライフスタイルに合わせた対策を検討していくことが大切です。無理のない形で、日々の生活を整えていきましょう。
<参考文献>
1, Prof Gill Livingston, et al: Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. The Lancet Commissions. 2020;396(10248):413-46.
2, Chao Tang, et al:Hypertension linked to Alzheimer’s disease via stroke: Mendelian randomization. nature scientific reports.2023:7;13(1):21606.
3, 日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕.
