睡眠障害と聞くと、不眠症を思い浮かべるが多いかもしれません。実は寝すぎることも睡眠障害の1つです。
睡眠不足の人の目線で考えると、寝すぎるなんて問題ないと思ってしまうかもしれません。今回は寝すぎが良くない理由や、その対処法について解説します。
1) 寝すぎの原因
寝すぎ、すなわち「過眠」とは、覚醒時に過剰な眠気が生じ、居眠りを繰り返してしまう状態、もしくは夜間の睡眠時間 が延長している状態です。
①一次性過眠症
脳内の覚醒維持に支障をきたしていることで生じます。
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ナルコレプシー
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特発性過眠症 など
ナルコレプシーとは、原因は不明で、日中に繰り返し起こる耐えがたい眠気や、怒り、驚きなどの感情で一時的な筋力低下(情動脱力発作)を引き起こします。眠気自体は20分程度の仮眠で爽快感を得られるものの、数時間経過すると同じような眠気を繰り返します。
情動脱力発作は、多くは笑ったときに膝が抜けたり呂律が回らなくなったりするもので、2分以内に元に戻ります。症状や睡眠潜時反復検査、脳脊髄液検査のオレキシン値などを参考に診断します。
特発性過眠症も原因は不明です。起床時に強い眠気、意識がはっきりしない、体を動かすことができない感覚などを経験します。睡眠ポリグラフ検査などを行って判断します。
②二次性過眠症
何らかの原因により、夜間の睡眠不足となった結果生じます。
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周期性四肢運動障害
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むずむず脚症候群
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ストレスや睡眠負債 など
周期性四肢運動障害は、原因は不明ですが、65歳以上の高齢者でよくみられます。夜間に手足、特に下肢に0.5~5秒のピクつきが繰り返し生じるため、不眠となり日中の過眠が生じます。
むずむず足症候群の原因は、中枢神経系のドパミン神経系の機能異常、もしくは脳内の鉄分の不足が原因と考えられています。
夜間、手足に「虫が這うような嫌な感じ」や「痛み」などの感覚異常があり、下肢を動かすと症状が軽くなることが特徴です。このため不眠となり日中の過眠が生じます。
ストレスや睡眠負債などによる不眠でも、過眠がみられることがあります。
③その他の過眠
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うつ病
うつ病では、その8割が不眠ではあるものの、1割と少なくない頻度で過眠がみられます。
2) 寝すぎへの対処法
寝すぎを改善させるためには、睡眠の質を上げるための一般的な対処法と、原因別の対処法があります。
<一般的な対処法>
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日中に太陽の光を浴びる
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就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控える
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日中に短時間の睡眠をとる
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睡眠環境を快適にする
日中に太陽の光を浴びる、就寝前のスマートフォンの使用を控えるなどの工夫をすることで、昼夜バランスを整える「オレキシン」が正常に分泌されやすくなります。
また、睡眠環境を整えることで、より質の高い睡眠を得るようにすると良いでしょう。
また、原因別の対処法をご紹介します。
<ナルコレプシー>
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十分な夜間睡眠をとり、規則的な生活を心がける
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昼休みなどを利用して、積極的に短時間(20分程度)の昼寝をする
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中枢神経刺激薬など
<特発性過眠症>
特別な対処法はなし。一般的な対処法を行う。
<周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群>
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薬物治療(ドパミンアゴニストや鉄剤など)
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増悪因子を避ける
-カフェイン、ニコチン、アルコールなど
-抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗精神薬、リチ ウムなど特定の薬剤
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入浴
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歩行、運動
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ストレッチ、下肢マッサージ、指圧
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湿布(温・ 冷)、カイロ など
<ストレス、睡眠負債>
ストレスの原因を理解し対処すること。睡眠負債については、休日の寝溜めは睡眠習慣を乱し、新たな睡眠負債を生じうるので避けるようにしましょう。
<うつ病>
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ストレス環境の改善
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薬物療法
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過眠の原因や対処についてご紹介しました。
ご自身でできる対策以外にも、治療の介入で良好な睡眠習慣を得られることもあります。
良い睡眠習慣で、日常生活をもっと充実させましょう。
過眠を含め、睡眠障害でお困りのことがあれば当院へご相談ください。
<参考文献>
国立精神・神経医療研究センター.睡眠障害ガイドライン 我が国における睡眠問題の現状